主婦がオーガニックに求めるもの

以前このブログで、
「オーガニック」は好感度も認知度が高いのに、
つまり市場のポテンシャルは高いのに、
実売が追いついていないジャンルであるとお伝えしました。

なぜか?

大きな要因は、コミュニケーションの問題。
「生産者又はメーカー側の伝えたい・守りたいことと、
 消費者が求める価値にギャップがあるから」でした。

今回は、その両者のギャップについて、
もう少し掘り下げてみましょう。

まずは生産者側から考えてみます。

オーガニック生産者が一番伝えたいことは
「わたしたちの想い」だと想像できます。
生産者は、商品を世に出すに至ったフィロソフィー、
世に出すまでにクリアしてきた様々な困難などのプロセセスを
丹念に伝えたいと思うはずです。

なぜなら、それがオーガニック商品がそうでない商品より
「価格が高い」ことの正当な理由だからです。

よって、生産者又はメーカーのコミュニケーションは、
「私ってこんな人」というルーツの紹介がメインになります。

では、消費者が求める価値(知りたい情報)とはなんでしょうか?

個人差はあるにしろ、まず第一は、
対価に見合った(もしくはそれ以上の)報酬を受け取れるかどうか、です。

消費者は、割高な金額を支払うからには
その対価を正当に受け取る必要があると考えます。

対価に見合った報酬は「満足」に言い換えることができます。
「満足」という感情が与えられて初めて、割高な価格が正当化されるのです。

消費者がオーガニック製品を手に取る理由はそれぞれです。

身体のコンディションにお困り事を抱えている人なら、
オーガニックの商品を使うことで「治るかもしれない」という希望を持ちたいことはもちろんですが、
その前に、
触れただけで・一口含んだだけで・少し塗ってみただけで・香りを嗅いだだけで、
「今までとのは違う」という、ハッとするような驚きが得られるかどうか?
滋味滋養が、心身に染み渡るような体験ができるかどうか?
それが、最も知りたい情報でしょう。
治ることは、もっともっと後のことだと、彼らは経験から学んでいます。

生産者を応援したいと考えている人ならば、
「応援してくれたことへの感謝の気持ち」が生産者から伝えられることこそが報酬です。
生産者と私が「ありがとう」という言葉で繋がることが、こころを満足させるのです。

つまり消費者は、商品のルーツよりも、購入した結果私の感情がどうなるか?
割高な価格に見合った報酬が得らるかどうかに興味があるのです。

「こころの満足」という感情を満たすことは、
商品のルーツを伝えることよりも、
場合によっては商品の効果効能そのものよりも、優先されるべき情報と考え、
コミュニケーションを見直してみる必要がありそうです。

(は)

子育て主婦とオーガニック食品

オーガニック食品は、子育て主婦にとって魅力的なキーワード。
”オーガニック”という言葉にネガティブもしくは無関心である人を探すのは
主婦リサーチを得意とする弊社にとっても難しいと思われるほどです。

オーガニックとはどんなものを指す言葉でしょうか?

野菜だけで考えてみても、自然農法・無農薬・減農薬などの言葉があり、
何がオーガニックと言えるのか明確に分かるという子育て主婦は
実は数パーセント程度でしょう。

オーガニックを認証する第三者機関というものは先進国で存在しており、
日本の有機JAS、フランスのECOCERT、イギリスのSoilAssociation、
アメリカのUSDA、オーストラリアのACOなどは
日本でも比較的知られてる存在です。

それぞれにの認証機関に細かい認定基準があり、
これらは全世界共通のルールではありません。
日本の農家であっても基準さえクリアすれば、
ヨーロッパの認証機関からオーガニック認証を受けることも可能ですが、
コストや言葉の壁があり認証を受けようとする農家は極々僅かですし、
そもそも日本の有機JAS認定農家でさえ1%に満たないのが現状です。

希少価値の高いオーガニック食品。子育て主婦からの好感度は抜群!
さぞかし売り手市場であると思いきや、国の調査によれば日本では、
オーガニックという概念が浸透してきている昨今であっても、
オーガニック食品市場は食品市場の1%未満のままです。
この比率は、先進国にあって非常に低い数値でトップ10圏外となっています。

”オーガニック”は好感度はとても高いワードなのに
実売を伴わないのはどうしてなのでしょうか?

一番大きいのはコストの問題です。
家計を預かる主婦としては、決められた予算の中から
食費以外にも、教育費・レジャー費・交際費なども捻出したいところ。

ハナ・モニターのみなさんも今までは
「家族の健康を守るために、食費の節約は一番最後。」と答える方がほとんどでしたが、
最近では野菜の高値なども影響してか、節約したいものに「食費」が登場するようになっています。
自然農法・無農薬・減農薬までいかなくても、国産であれば良しとしたい。
「あまり神経質になりたくない。」の言葉の裏に、食費で家計を圧迫したくないという本音もあります。

アンケートには「食の安心安全にこだわりを持っている」と回答したモニターさんであっても、
細かくヒアリングしていくと「顔の見える野菜」であれば充分と考えている人が大部分を締めており、
認証マークの有無よりも、「正直・ひたむき」といった生産者イメージが重要視されています。
農家さんが正直でひたむきであれば、多少の農薬使用は許容範囲と言って良いでしょう。

よってオーガニック食品における子育て中の主婦とのコミュニケーションは
下記の3つに体系化できます。

①応援(生産者の正直さ・ひたむきさ/地元や故郷といったつながり)
②新鮮さ(産直/採れたて)
③安心(オーガニック認証/産地表示)

オーガニック認証マーク付き商品を集めてみたものの
思ったほど実売には結びつかないといったお悩みをお持ちの企業様は
①と②の要素を加えてみることをおすすめいたします。

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