「オーガニック」の消費者イメージ

オーガニックを選ぶ(もしくは良いと思う)理由の第一位は、
「身体に良い」と思うからです。
これは消費者アンケート不動のナンバーワン回答。

オフィスハナでは調査結果について
アンケート回答者に対して個別に「対面による深掘り追加調査」を頻繁に行っておりますが、
この「身体に良いから」と回答した人に、
「ではどうして身体に良いと思うのか?」と問うてみると
「農薬は身体に悪そうだから、なんとなく。」と言う回答がほとんどです。

「なんとなく、身体によさそう。」

これを聞くと、オーガニックに真摯に取り組んでおられる生産者様は、
「もっと知ってもらいたい。もっと伝えたい。」と思われることでしょう。
イメージだけに流されず、見極める知識を持って欲しい。
賢い消費者として、私たちの正直な商品を選んでほしい。と。

よって私たちも
「本当のオーガニックを正しく伝えるツールを作って欲しい」という
消費者教育的なコミュニケーションプランの依頼をよくいただきます。

この10年。
そういった依頼に真摯にお応えし、それなりの成果をコツコツと積み上げて参りましたが、
個別案件ではなく、日本のオーガニック市場全体という大きな視点で振り返ってみると、
ニーズの裾野を広げるためには、消費者教育とは別の方法もあるのでは?という想いもあります。

真実と向き合うことは大切なことですが、
真実に向き合うことが生活者に窮屈さや不自由さを強いることになってしまっては
良いコミュニケーションは築けません。

おいしさ・香りのよさ・生産者への共感といった、主観的で曖昧な感覚にこそ、
オーガニックのポテンシャル最大化の鍵が隠れているように思います。

(は)

「ていねいな暮らし」と「オーガニック」と「無理しない家事」

主婦だけでなく、シングル女性にも人気な「ていねいな暮らし」。

働く女性の情報サイトマイナビウーマンの調査(https://www.mynavi.jp/news/2017/07/post_14482.html)では、
「働く女性に対して「丁寧な暮らし」に憧れますか?と聞いたところ、過半数の55.6%の人が「憧れる」と回答した一方で
「丁寧な暮らしが実際にできている」と回答した人はわずか12.3%となりました」とあります。

実感値ではありますがこの結果はハナモニターの主婦層においても近似値であるように予想され、
ていねいな暮らしに対するポジティブなイメージ(憧れ)に世代間や職の有無によるギャップはないように思われます。

女性が憧れる「ていねいな暮らし」。
しかしここにも「オーガニック」というワードと同じように
好感度は高いが実売(行動)が伴わないという現象が見てとれます。

マイナビウーマンの調査報告は「丁寧な暮らしができない理由」として
「生活と心のゆとりが持てていない」ことが挙げらており、
さらに、
有職の女性は丁寧な暮らしに憧れる一方で、
”あえて家事を(ちゃんと)しない”という選択をして「ゆとり」を獲得しようとする新しい価値観も登場し、
それに共感する女性が増えていると結んでいます。

男性陣にとっては、
「ていねいな暮らし」の実現と「あえて家事をしないという選択」は相反するのでは?矛盾してませんか?とクエスチョンマークがたくさん点灯してしまうかもしれませんが、
女性の脳はすんなりナチュラルに許容でき、一見相反するように見える価値観をハイブリッドに採用し暮らしを楽しむことが可能です。
(生物学的に脳のスペックに性差があると言われています)

しかし、「僕たちには理解できない」と思考を止めてしまってはなりません。

むしろ、マーケティング視点を持つならば、
消費者からの好感度も高く、高付加価値商材であり、ポテンシャルは高いのに眠れる市場である「オーガニック」に活路を見出せるかもしれない新しい価値観の登場を歓迎すべきです。

ベビーを育児中の主婦から、こんなつぶやきが出ています。

「泣いている娘に、「ごめんね、待っててね。」と謝りながら、手作り離乳食をつくり、掃除機をかけ、布オムツを洗い、頑張ってきたけど、それって娘とのんびりと笑顔で過ごす時間より優先すべきことなのかな。。。」

従来型の理想の母親像を壊すかもしれない彼女たちを社会が許容しなければ、
日本のオーガニックは永遠に憧れ・理想のまま。
市場は眠ったままでしょう。
欧米との差は広がるばかりです。

夕飯をお弁当してできた余裕が、オーガニックを買うスイッチを押すと理解すれば、
コミュニケーションのあり方も変わるはずです。

その延長線上に、日本のオーガニック市場の拡大があると考えています。

(は)

日本のオーガニック食品購入者層、その意外な実態とは?(電通報より)

今回は電通報より、
「日本のオーガニック食品購入者層、その意外な実態とは?」の調査結果をシェアいたします。
 →日本のオーガニック食品購入者層、その意外な実態とは?
  https://dentsu-ho.com/articles/5783
  

この調査は、2016年に消費者1万人を対象に実施した大規模なもので、
題名通り、オーガニック食品購入者の意外な実態が明らかにされています。
また、購入者の情報源や購入場所との関係も明らかに!
オフィスハナの主婦モニター調査でもおなじみの「応援買い」についても触れられており大変興味深いものです。

ぜひご覧ください。

(は)

子育て主婦とオーガニック食品

オーガニック食品は、子育て主婦にとって魅力的なキーワード。
”オーガニック”という言葉にネガティブもしくは無関心である人を探すのは
主婦リサーチを得意とする弊社にとっても難しいと思われるほどです。

オーガニックとはどんなものを指す言葉でしょうか?

野菜だけで考えてみても、自然農法・無農薬・減農薬などの言葉があり、
何がオーガニックと言えるのか明確に分かるという子育て主婦は
実は数パーセント程度でしょう。

オーガニックを認証する第三者機関というものは先進国で存在しており、
日本の有機JAS、フランスのECOCERT、イギリスのSoilAssociation、
アメリカのUSDA、オーストラリアのACOなどは
日本でも比較的知られてる存在です。

それぞれにの認証機関に細かい認定基準があり、
これらは全世界共通のルールではありません。
日本の農家であっても基準さえクリアすれば、
ヨーロッパの認証機関からオーガニック認証を受けることも可能ですが、
コストや言葉の壁があり認証を受けようとする農家は極々僅かですし、
そもそも日本の有機JAS認定農家でさえ1%に満たないのが現状です。

希少価値の高いオーガニック食品。子育て主婦からの好感度は抜群!
さぞかし売り手市場であると思いきや、国の調査によれば日本では、
オーガニックという概念が浸透してきている昨今であっても、
オーガニック食品市場は食品市場の1%未満のままです。
この比率は、先進国にあって非常に低い数値でトップ10圏外となっています。

”オーガニック”は好感度はとても高いワードなのに
実売を伴わないのはどうしてなのでしょうか?

一番大きいのはコストの問題です。
家計を預かる主婦としては、決められた予算の中から
食費以外にも、教育費・レジャー費・交際費なども捻出したいところ。

ハナ・モニターのみなさんも今までは
「家族の健康を守るために、食費の節約は一番最後。」と答える方がほとんどでしたが、
最近では野菜の高値なども影響してか、節約したいものに「食費」が登場するようになっています。
自然農法・無農薬・減農薬までいかなくても、国産であれば良しとしたい。
「あまり神経質になりたくない。」の言葉の裏に、食費で家計を圧迫したくないという本音もあります。

アンケートには「食の安心安全にこだわりを持っている」と回答したモニターさんであっても、
細かくヒアリングしていくと「顔の見える野菜」であれば充分と考えている人が大部分を締めており、
認証マークの有無よりも、「正直・ひたむき」といった生産者イメージが重要視されています。
農家さんが正直でひたむきであれば、多少の農薬使用は許容範囲と言って良いでしょう。

よってオーガニック食品における子育て中の主婦とのコミュニケーションは
下記の3つに体系化できます。

①応援(生産者の正直さ・ひたむきさ/地元や故郷といったつながり)
②新鮮さ(産直/採れたて)
③安心(オーガニック認証/産地表示)

オーガニック認証マーク付き商品を集めてみたものの
思ったほど実売には結びつかないといったお悩みをお持ちの企業様は
①と②の要素を加えてみることをおすすめいたします。

(は)