第7回:シニアライフにおける社会貢献

シニアライフデコーダーの橋詰です。
オフィス・ハナのシニアマーケティングを担当しています。

シニアライフの翻訳者「シニアライフデコーダー」のお仕事について解説いたします。
第7回では、
シニアマーケティングにおける「シニアライフにおける社会貢献」についてです。

女性なら、子供が独立し、孫育ても一堕落して、時間のほとんどを自分のために使えるようになったとき。
男性なら、仕事を引退し、余暇時間がぐーんと増えたとき。

人生60年であった時代なら「悠々自適なご隠居生活」のスタートが始まっていた人が大部分でした。
残された人生は10年、長くて15年。
人生の終焉がすぐそばにあるからこそ、穏やかな「余生」がおくれたわけです。

しかし現代のような超高齢時代になってきますと、
仕事や子育て孫育ての後、少なくとも20年の生活の心配があるわけです。
女性の感覚なら、
もう一度、ヒトが誕生し成人するまでの歳月、暮らしを立てていかなくちゃいけない。

余生はまだまだ先。。という状態でありながら、無職。

これはちょっと不安ですよね。

ちょっとでも良いから働きたい。もしくはパートナーに働いて欲しい。
”シニアの活用”などと政治はいうけど、
まだまだ現実的には「誰にでも仕事がある」という世の中にはなっていません。

「仕事があるという状態は幸せなんだ」「働けるって幸せ」
これらは手垢のついた表現ではありますが、
シニアライフを生きている方々のこのコトバは
現役世代の私たちよりもぐっと重みのあるものです。

しかも、
仕事の報酬はお金だけではありません。

誰かに必要とされている。
誰かのお役に立っている。
社会の一員として、世の中に貢献できている・奉仕できているという実感、
つまり「生き甲斐」も、仕事がもたらす大きな報酬です。

仕事があれば
社会から外れてしまったという疎外感や
誰からも必要とされていないと思う孤独感に
とらわれなくて済みます。

自分が誰かのお役に立っていると思えることは
特にシニアライフにおいて、幸福であるための大きなエレメントになっています。

でもなかなか、仕事につくのは難しい。。
そこで注目されるのが
ボランティアなどの社会貢献・奉仕活動です。

地域のため、子供達のため、母校のため、、
誰かの役に立てる舞台が用意されている社会は
高齢者のQOLをアップし、健康長寿につながることが
医学的にも証明されています。

この「シニアライフを送る世代の社会貢献志向」を理解することで
業績を上げている業態があります。

あるコーヒーチェーン店では、高齢の男性客が多いことが知られています。
多くがモーニングの時間帯を利用しています。

ある高齢の男性客は新聞の切り抜きを持参し、
お店のスタッフに渡します。
「この間話した本の解説がここに載ってるから読んでおきなさい。」などと言っています。
それを嬉しそうに「ありがとうございます!勉強になります!」と受け取るママさんスタッフ。

また別の高齢の男性常連客は、
通常のブレンドコーヒーの倍ちかい値段の「今月のおすすめコーヒー」を指差し
「これ、売れてるの?」なんてスタッフに質問しています。
「それが今月はちょっとお高いので、、、」というスタッフ。
「仕方ないから僕が頼んであげるよ。」
「ありがとうございます!本当に良いコーヒーなので○○さんに飲んで頂けて嬉しいです!」

このコーヒーチェーン店では
このような高齢男性客とスタッフのやりとりが
枚挙に暇がないと言って良いほどの日常になっています。

高齢男性にとっては、これもひとつの社会貢献。生き甲斐のひとつでもあります。
「わたしがこのお店のスタッフを育ている・売上に貢献できている」とう気持ちが
彼のQOLをアップさせているに違いありません。
ただコーヒーを消費しに行っているだけではありません。

お店にとっても、
お客様のQOLアップがこそが
お店の売上アップ(リピート率アップ・客単価アップ)に繋がるわけですから、
まさにwin x winの良いスパイラルが生まれるだけでなく、
お店が高齢者の拠り所として半公共的な役割を果たすことにもなり、
地域での存在感を増すこともできます。

女性の場合も同じです。
高齢女性は「何を買うか」よりも「誰から買うか」を重視する傾向にあります。
あなたの役に立っている・あなたに貢献できることを喜びと感じています。
私たちの調査では、「応援」は購買理由の中でも高い順位を保持しています。

超高齢社会になり、20年30年という長さまで延長された余生。
一生現役で仕事があれば安心ですが、そうでない世の中で、
収入にはならないかもしれないけど、
せめて誰かの役に立っているという生き甲斐を得る場所としての奉仕活動。
それが消費と結びついた応援買いは、
生き甲斐につながる行為です。

現役世代でも「復興応援」などのエシカルな消費はありますが、
シニアライフにおいては、もう少し切実な事情があることが分かります。

シニアをターゲットとした商品開発においては、
早いうちから消費者に関わってもらうことで
消費者にも商品・サービスを「わたくしごと」としていただき
育ての親をたくさんもつことが重要です。
企業様と消費者との間の翻訳者であるシニアデコーダーの役割を担う人員を
チーム内に確保することが成功の鍵となるでしょう。

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次回は、
シニアデコーダーがマーケティング視点でピックアップしたニュースをお届けします。
お楽しみに!!

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