シニアライフデコーダーの橋詰です。
オフィス・ハナのシニアマーケティングを担当しています。
シニアライフの翻訳者「シニアライフデコーダー」のお仕事について解説いたします。
第5回では、
シニアマーケティングにおける「家族ニーズと利用者ニーズ」についてです。
主婦は商品を購入するとき、
「家族が欲しいもの」と「わたしが欲しいもの」の両方を買っています。
子育て中は、
「私は欲しくないけど、家族のために買わねばならぬもの」
「家族のためには仕方ない出費」が優先されます。
いわゆる「家族ニーズ」の購入です。
一般的な子育て期間を考えれば、
「家族ニーズ」の購入を優先させる生活が
二十数年は続くことになります。
それと対局にあるのが「わたしが欲しいもの」つまり「利用者ニーズ」です。
「購入者ニーズ」とも呼ばれていますが、
ここでは「わたしが買って私が使うもの」として
「利用者ニーズ」で統一します。
現役世代の主婦の「いいね」を商品化しても
売れるとは限らない(むしろ売れない方が多い)理由は、
「利用者ニーズ」と「家族ニーズ」の狭間で
「欲しいのだけど今は買わない。
なぜなら家族ニーズが優先だから。」という事情が影響しています。
現役世代の主婦の夢・理想を叶えるだけでは不十分という事例です。
女性のシニアライフは、
我が子が独立したことで主婦が「家族ニーズ」から半分解き放たれ、
いよいよ「利用者ニーズ」である「わたしが欲しいもの」を買える機会が増える
まさに春の季節からスタートします。
お稽古事を始めたり、
十数年ぶりに夫・子供以外の人と旅行に出かけたり、
もちろん夫とのちょっとリッチな旅や
ファイブスターホテルのランチを楽しんだり、
私の時間・利用者ニーズの購買を謳歌できるようになります。
罪悪感なしに私のためにお金をつかえる喜び。
まさにオトナの青春!
まだまだ体力もあり無理もきく年代です。
TVCMの「大人の休日」のような充実した日々のイメージも夢ではありません。
本当の私の人生のスタート。
それが主婦のシニアライフの始まりと重なります。
*
この、主婦に訪れる第二の青春期の次にやってくるのが
「孫誕生」というステージです。
多くの人の現役世代のイメージはここで
「目に入れても痛くない可愛い孫のために
お財布の紐をゆるめて最高のものを買い揃えるおじいちゃん・おばあちゃん」に
一足飛びに突入してしまうのですが、
シニアライフデコーダー視点で解説しますと
この演歌「孫よ」のイメージは
現実のシニアライフとは違う・・・と、言わざる得ません。
なぜなら、
孫への出費は、ほとんどが「家族ニーズ」だからです。
*
今、主婦が謳歌しているのは、
二十数年続けてきた「家族ニーズ」優先の生活からやっと卒業して、
ようやく迎えた「利用者ニーズ」を優先して良い、第二の青春時代です。
しかも主婦になってからの第二の青春時代は
そう長くはありません。
自分の親の介護の問題や夫の健康問題が
近い将来現実的になるという予感もあります。
「私の人生ってなんだったの?」と後悔しないために
今を楽しみたいという気持ちは
大げさでなく切迫した願望として主婦の心にあるのです。
できればこの青春を手放したくない。
少しでも長く味わっていたいと思うのが本当のところです。
「孫が可愛い」のは事実ですが、
だからといって「家族ニーズ」購入の割合をどんどん増やせるほど
人の感情は簡単ではありません。
*
それでも、孫のため(つまり「家族ニーズ」)の出費をするのは、
「孫が可愛い」という気持ちもありますが、
それよりも「孫よりかわいい我が息子・我が娘」に
人並みのことをさせてあげたい。
肩身の狭い想いをさせたくない、
親として可愛い我が子を支援したいという気持ちがあるからです。
母性として母親に備わっている「我が子可愛い」が
祖母世代の家族ニーズ消費を促しています。
(祖父はまた少し事情が違います。それはまた別の機会にお話しましょう!)
「孫より我が子」です。
「シックスポケット」という言葉が生まれたことで「孫の日」も誕生しましたが、
肝心のシニアにはちっとも共感されないという現実。
ここまでの解説で、その理由の片鱗がご理解頂けたと思います。
繰り返しますが、孫より我が子です。
「祖父母と孫のイベント」に祖父母が参加するのは
可愛い子に自由時間をプレゼントするため。
孫のお年玉の額をちょっと抑えてでも
息子に良い和牛を食べさせてやりたい。
(嫁は普段食べさせてないだろうから)。
娘時代はあんなにオシャレだったのに、
いつも同じ服を着て子供のものばかり買って
(婿が甲斐性無しなばっかりに)本当に可哀想。
私が娘にワンピースの1枚でも買ってあげたい。
むこうの両親に「実家がケチ」だと思われたら我が子が可哀想だから
お祝いは奮発しなくては!
etc……
この気持ちがシニアの「家族ニーズ消費」の原動力です。
つまり、「母性」が肝なのです。
シニア世代の「孫あるある」の笑い話しに、
「孫にお祝いやプレゼントを送ったら孫から電話が来て
夫が電話に出たのだけど「おばあちゃんにかわって。」と。
それで孫が「おばあちゃん、プレゼントありがとう!」と言うもんだから
なんだか夫に悪くて(笑)」というのがあります。
子供はプレゼントの出所が「母性」であることを
本能で感じ取っているのかもしれないですね。
今日はシニアライフを感情面から翻訳して
利用者ニーズと家族ニーズについて考えてみました。
シニアとのコミュニケーションにお役立ていただけたら嬉しいです!
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次回は、
シニアデコーダーがマーケティング視点でピックアップしたニュースをお届けします。
お楽しみに!!
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