シニアライフデコーダーの橋詰です。
オフィス・ハナのシニアマーケティングを担当しています。
シニアライフの翻訳者「シニアライフデコーダー」のお仕事について解説しています。
第10回は、今どきシニアの食生活(70代編)の後編です。
→前編はこちら
後編では、「なぜ70代から夫婦の個食化が始まるのか?」を翻訳します。
妻が70歳前後に差し掛かると、
多くの場合、夫は70歳〜75歳くらいです。
現在70歳〜75歳男性のシニアライフを考えてみます。
定年から10年程経過し、
仕事(役職・部下といった社会のヒエラルキー)から離脱したという実感が
やっと出てくる頃です。
かつての仕事仲間、恩師や同級生の訃報をよく聞くようになり、
「残りの人生をどう生きるべきか」というテーマに向き合う頃になります。
家庭生活では、(妻がどう思っているかは別として)
自分が仕事をしている間に家庭を全て切り盛りしてくれた妻への配慮から、
妻を尊重して妻の作った家庭のルールで暮らしてきたけれど、
「僕の人生、我慢したままで終わっていいのか?」という考えが頭に浮かびます。
やりたいことがあれば、元気なうちにやるべきではないか?
そろそろ自由に思う通りに生きても良いのではないか?
そうは言っても、そう大胆なことはできない。。。
そこで出てくるのが「せめて、自分の好きなものを食べる」というアイディアです。
妻が作ってくれる食事は体のことを考えて薄味で野菜中心のもの。
でも本当は、僕は濃い味付けが好きなんだ。
いまひとつ、物足りない。
サラリーマン時代に食べた真っ黒な汁のお蕎麦と大きな天ぷら。
ケチャップがたっぷりのナポリタン。
居酒屋でいつも頼んでいた鶏の唐揚げ、ポテトサラダ。
お袋が作ってくれた甘辛い煮付けやきんぴら。。。
あれ食べたいなあ。
あと何年元気に食事できるか分からないのだから
食べるものくらい好きにしたい。
今はスーパーやコンビニだって美味しそうな惣菜が売っている。
食生活くらい、妻の管理下から抜けてもバチはあたらないのではないか?
といった想いが、個食を促進します。
それを実現するために
今まで妻に預けていた家計(生活費)主権の奪還を妻に迫るというケースも
数多く報告されています。
一方妻の方も、
子供も独立し、孫育ても終わり、
「そろそろ家族の食事作りから解放されたい」という想いがあり、
「夕飯は作るから、せめて朝・昼くらいは自分でやって」と夫に提案した人が
少なくありません。
「あなただって、都合良いでしょ。私の味付けしたものよりも、
味付けの濃いお惣菜の方がお好みでしょ。」なんてことも言ってやりたい。
せっかく買った高い調味料の良さを理解できない夫に食べさせるのはもったいないし。
私にだって好きなものを食べる権利はあるはず。
かくして。夫婦の個食化は進みます。
しかし昨今では、スーパーやコンビニのお惣菜の進化が目覚ましく、
味付けやボリュームのバリエーションが豊富になり、
「二人分ならお惣菜を買った方が経済的」と考え、
お惣菜を多用した食生活を選ぶ主婦も増えています。
私たちの調査では、75歳前後になるとお惣菜派の割合は
手作り派(というよりお惣菜に否定的な層)と拮抗するまでに高まってきます。
揚げ物・焼き魚などの調理後の片付けが大変なもの、
海鮮丼・助六・ちらし寿司・ワンコイン程度の価格の弁当などの軽食人気で、
冷凍食品のパスタやグラタン、焼きおにぎりや炒飯などは、
夫婦共通食として活用されています。
”シニアターゲット”として注目されている「宅配食」の活用は、
上記にあげたような「お財布も意思決定も自立している元気な70代」の利用は少ないようです。
私の実感値ではありますが、宅配食は家族ニーズであるので、
メインユーザーは親を介護している50代女性、単身世帯の男性、年代に関係なく夫の介護をしている女性ではないでしょうか。
*
ーまとめー
70代シニアの食生活のテーマは「お互いに好きなものを食べる」であり、
食生活に関しては夫婦であってもお財布は別々というケースも少なくないので、
コミュニケーションに関しては、嗜好の性差に配慮した表現を選ぶべきでしょう。
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次回は、
「シニアへの”おもてなし”を通販に学ぶ」を
シニアデコーダーがマーケティング視点でお届けします。
お楽しみに!!
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